2月23日(金?祝)、酒田市公益研修センター中研修室1にて「NHK記者が語る警察取材の現場」を開催し、本学学生と教職員、一般市民の方を合わせて35名が参加しました。
講師としてNHK山形放送局の記者小林桃子氏にご登壇いただき、記者の仕事内容、警察取材や被災地取材の現場、記者としての想いについてご講演いただきました。小林氏は岡山県出身で、2019年NHKに入局し現在6年目。大发体育_中国足彩在线-官方app下载時代NHKにてADアルバイトをしており、何気なく参加した企業説明会にて、NHKの使命「人々の生命、生活、人生を守る緊急報道」の言葉に感銘を受けNHK一本で就活を始めたそうです。
小林氏は警察司法担当、略して「サツ担」。県内には14の警察署があり、挨拶回りから始まります。現場にいち早く駆け付け取材し、正しく早く原稿を書くのは難しく、デスク(上司)から何度も細かい情報について質問を受けることがあるそうです。事件事故の大小に関係なくより深い情報を聞き出すため、夜討ち朝駆けをすることもあると話してくださいました。
現在「やままる」内にて「とめっべ!事件事故」のコーナーを担当し、電子マネーによる詐欺を防ぐため県内444の全コンビニエンスストアを各々担当している警察「コンビニポリス」についてや雪道で転ばないコツ等、事件事故防止に向けたニュースをHPやX(旧ツイッター)にて発信されています。事件事故を防ぎたいのは警察も一緒のため、時には協力しながら情報を発信し、どうしたら自分ごと化してくれるか考えながら業務にあたっているそうです。
また、能登半島地震の震災1ヶ月後に被災地へ行き、ご遺族取材を担当されました。『テレビだから感じることが出来る表情や息遣いは文字では表すことはできません。カメラを向けられて話すのは凄く勇気が必要で、話していただいたかけがえのない人生は放送して終わるのではなく、より伝えることが出来るようネット記事にしてご遺族の言葉を残している』そうです。また、『取材時は、どのようにニュースで伝えるか考える「NHK記者としての自分」と、取材対象者の方の想いに寄り添う「1人の人間としての自分」を大切にしている』と話してくださいました。
みなさんは、「メディアスクラム」という言葉はご存知でしょうか。小林氏は「事故から○ヶ月と節目を付けるのはメディアの都合」「自分がご遺族だったら」等と考え、取材をすることに対して疑問と葛藤があったそうです。デスク(上司)へ直接「なぜ傷口に塩を塗るようなことをするのか、何のためにご遺族取材をするのか分からない。」と直談判したところ「『行き場のない悲しみや怒り等を知ってほしい、大切な人が生きていたことを伝えたい。』の声があっても、その声を黙殺するのか?」と言われ、何があったのか伝えなければならない、と思ったそうです。実際に10人に1人いるかいないかですが、想いを残したい、知ってほしい、伝えたいと取材を引き受けてくれる方がいらっしゃるそうです。
最後に小林氏は「日々葛藤する中でもニュースとして伝えなければいけない声があります。だから私は記者をしています。今後も伝え方を試行錯誤しながら、期待?信頼に応えていけるよう対話を重ね、より良い報道でより良いNHKであるため、NHKがどうあるべきかみなさんと一緒に考えていきたいです。」と記者としての想いを語ってくださいました。
参加者からは、「普段は聞くことができない記者の仕事の裏側を知ることができ、この職種を将来の進路の一つに考えている私自身にとって大変勉強になった」「小林記者の体当たりの報道は日々目にしていましたが、実際に本人の分かりやすいお話で心に残った」「ご遺族の方々に取材した葛藤など心に響いた」などの感想が寄せられました。
地域共創センターでは、学生や教員が話題提供者となって開催する小規模で双方向形式の教養講座(共創カフェ)や、センターが企画?運営する公開講座(FORUM21)を学内外の講師による幅広いテーマで開催してまいります。開催については、本学ホームページや地域共創センターSNS(Instagram、Facebook)でお知らせいたします。