FORUM21は課外の教養講座として実施している公開講座で、学内外の講師による幅広いテーマのプログラムを実施しています。
12月14日(土)、酒田市公益研修センター中研修室1にてFORUM21「『アメリカ公民権運動』と『人間の意識向上の理念』の文学への投影」を開催し、本学学生と教職員、一般市民の方を合わせて19名が参加しました。講師として本学の加藤良浩准教授が登壇し、自身の経歴、『高く昇って一点へ』『現象としての人間』『オコナー短編集』などを書籍を例に、当時の黒人差別や公民権運動(「バスボイコット運動」「ブラウン裁判」など)、作品描写から読み取れる作者の想いについて講演しました。
これまでの歩みについて「大学時代はフランス文学を専攻し、卒業後すぐに教育学部の英語英文学専攻科に通ってから公立高校の教員になった。『響きと怒り』にてついて研究したいと思い、夜間高校で教員をしながら大学院に通った」と話しました。
母親の死の場面で終わる作品について「日本語訳には『彼(息子)が罪と悲しみの世界に入るときを刻一刻と遅らせるかのようだった』とあるが、英文には『postponing』の単語が入っており、これは『延期する』という意味。つまり、幸福の世界へ行くのには時間がかかる、困難を克服するには簡単にはいかないということを表している。『罪と悲しみの世界』は幸福までの過程?パスポートであると解釈できる」と説明しました。
参加者からの「加藤准教授がおっしゃっていた『文学は心の奥深くから出てきたもの』とはどういうことか」との質問に対して、「景色を見ている時の『綺麗』『神秘』などと感じる気持ちに似ていて、子どもの時に養われる力だと思っている。明確な言葉で表すのは難しいが、文学は深層心理を表している。作者の想いや考えを読み解くことで、より作品の価値を感じることができる」と答えていました。
最後に研究活動について「これまで1人の作者の作品についての研究ではなく、自分が面白いと思った作品の研究をしてきた。研究は日々最新のものが求められるため、色々な文献を調べている。今後も、面白いけれど難解な作品を探して、時代背景から分かる作者の想いを解釈していきたい」と想いを語りました。
参加者からは、「アメリカの歴史を別の視点から勉強することができた」「大変面白い講演でした。資料を読み直して、整理してみたいと思う」「普段の生活の中では使わない思考や感覚を刺激される貴重な時間だった」などの感想が寄せられました。
本学図書館には、加藤准教授が執筆した『アメリカ南部ルネサンスの小説』や共著にて執筆された書籍が収蔵されています。『アメリカ南部ルネサンスの小説』は、南部ルネサンスの三人の作家の作品について、テキストの表現に着目し考察をえた形での一解釈を提示しています。
図書館はどなたでも無料でご利用いただけますので、ぜひお気軽にお越しください。(利用カードは300円で作成できます)
図書館HP:
/facilities/media_center.html
地域共創センターでは、学生や教員が話題提供者となって開催する小規模で双方向形式の教養講座(共創カフェ)や、センターが企画?運営する公開講座(FORUM21)を学内外の講師による幅広いテーマで開催してまいります。開催については、本学ホームページや地域共創センターSNS(Instagram、Facebook)でお知らせいたします。